病気をお持ちの方に対する歯科治療です。
一般的に様々な全身疾患に対応することが難しい場合、抜歯等の外科処置など診療内容によっては、不可能と判断されるケースも少なくありません。
しかし適切に全身状態がコントロールされているならば可能である場合も多く、いたずらに口の中の状態を悪化させることは避けるべきと思われます。口の中だけではなく体全体とのバランスを考慮して診療に携わって行きたいと考えています。
口の中と全身は実は密接な関係があります。体調の悪い時に口内炎、口角炎ができたり、歯や歯茎が疼いたり、胃腸が悪いと口臭がしたりと、経験された方も多いと思います。
近年ではこのように身体の変化の結果が口の中に現れるということだけでなく、身体の健康と口の健康の相互の関連性についての報告がいくつか出てきました。
例えば、糖尿病がある人の中には歯周病が進行している人が多く、その進行も早いことが知られ、また脳機能の低下(脳梗塞後など)についても、咀嚼運動をすることにより、脳血流量が増加することが報告されています。
つまり口の中の環境を整え、よく咬むことにより、高齢者では脳機能低下の予防、リハビリの促進になるといえます。
年齢が上がるにつれて歯の本数は減っていくことが多いです。
そのため多くの方は入れ歯やインプラントなどで歯の無い部分を補って咬めるような状態にしています。
しかしこのような人工物はメインテナンスをしっかりしていかないと御自身の歯と同じように汚れて、劣化していきます。元々口の中というのは細菌だらけの状況なので、汚れが多いということはイコール細菌の数が多いということを意味しています。
ご高齢になると喉の弁の働きが悪くなるために、増えた細菌が肺のほうに入りこむことによって“誤嚥性肺炎”という病気を引き起こしやすくなります。誤嚥性肺炎を防ぐには口の中の細菌の数を減らしてあげることが効果的です。
それには適切な口腔ケアを行っていくことが大切なので、定期的なクリーニングや入れ歯の洗浄等を心がけてください。